地球を覆う大小様々のプレート(分厚い岩盤)は、絶えず運動し、プレート同士がぶつかるところでは大きな力が働いています。 この力によって蓄積されたひずみを解消するため、地震が発生します。海域で地震が発生した場合は、海底の地形が変動して、津波が引き起こされることがあります。 日本列島には4つのプレートが集まっているため、これまでも多くの地震や津波が発生してきました。
津波の発生過程として、まず地震などの断層運動により海底の隆起・沈降(海底変動)が起こり、それに伴い海面が変動します。 次に変動した海面が重力でくずれ、津波として伝わります。規模の大きい地震では、海底の変動量も大きくなるため、海面の変動量も大きくなり、大きな津波をもたらします。
津波の規模は、海底に達する断層運動のずれの大きさや断面の面積に比例して大きくなります。 断層運動が通常より長い時間をかけて進行する場合、地震の揺れは小さくても、津波が発生し被害を生じることがあります(津波地震)。 また、海底地すべりで津波が発生することがあります。 沖合で発生する津波の周期と波長は大変長く(周期:数分~数十分、波長:数十~数百km)、飛行機並みの高速度で伝搬しますが、高さは低く目視での確認は困難です。 沿岸に近づき水深が浅くなると伝播速度がゆっくりになるため波長は短く振幅は大きくなり、陸地をかけ上がり大きな被害を及ぼすことがあります。
津波は、押し波で来た場合には、津波の到着と同時に陸地への浸水が開始されます。一方、引き波で来た場合には、海岸からは、海が後退していったように見えるはずです。しかし、この現象は、既に津波が到達したことを意味します。皆さんは、海が後退するような現象を見かけたら、津波が到着した、とみなして早急に避難行動をとるようにお願いいたします。
日本列島と周辺海域には海と陸の4つのプレートが集まり、地震活動は極めて活発です。 防災科研の 観測網によると、1日あたり平均400~500個、数分間に1個程度の頻度で地震を検出しています (ほとんどは規模の小さな無感の地震)。海域には数多くの地震が発生していますが、陸域の観測網で、陸から遠い海域の地震を十分正確に検出することは難しく限界があります。 津波の観測も、沖合の限られた海域に小規模な津波観測システムが設置されているに留まり、海域における広域の基盤的な観測網整備の重要性が指摘されてきました。
2011年の東北地方太平洋沖地震の後も、東日本太平洋沖では活発な余震活動が続いています。 また、この地震の影響により日本海溝と千島海溝沿いの周辺海域でも、引き続き大きな地震が誘発され、今後も強い揺れや津波が発生し、襲来する可能性があります。
また、東北地方太平洋沖地震により力のバランスが変化して、震源域の余震の活動とともに周辺海域のプレート境界と内部が不安定になっていることから、 大規模な地震が誘発され、津波を伴うことが懸念されます。 例えば、日本海溝の外側(東側)の太平洋プレート内でアウターライズ地震と津波の発生が考えられます。