相模湾地震観測施設

観測網の全体概要

 相模トラフ海域では1923年に大正関東地震が発生し、南関東地域に大きな被害をもたらしました。 それ以前には江戸時代の元禄期の1703年にマグニチュード8クラスの元禄地震が発生しています。 これは地殻の沈み込みにより発生した巨大地震です。 2011年の東北地方太平洋沖地震や1946年の東南海地震のような薄い地殻による沈み込みではなく、南関東地域では厚さ20~30kmの厚い地殻が伊豆半島の付け根で衝突するという複雑な地殻の動きが背景にあります。

 これらの複雑な動きを海域で早期に捉えるために地殻活動を観測しているシステムが1996年3月から運用しているこの相模湾地震観測施設です。

観測網の構成

相模湾地震観測施設配置図

 相模湾地震観測施設は相模トラフに沿って約120㎞沖合まで1本の海底ケーブルで接続されたもので、6台の地震計(加速度計と速度計ST1~6)と3台の水圧計(VCM1~3)から構成されています。 これらの地震計センサーはジンバル機構によって水平を保たれ、それぞれ上下方向、水平方向2成分の計3成分での観測を実施しています。 これらのセンサーにより海底下で発生する地震活動や地殻変動、津波を検知することができます。 加速度計と速度計は100Hz、水圧計はカウント値を10Hzでデータ取得しています。
 この観測データは神奈川県平塚市の中継局に伝送されてデータ処理の上、即時的に当研究所をはじめ、気象庁や各研究機関に送られています。