地震計と水圧計が一体となった観測装置を海底ケーブルで接続し、これを日本海溝から千島海溝海域に至る東日本太平洋沖に設置し、リアルタイムに24時間連続で観測データを取得します。観測装置は150カ所に設置し、ケーブル全長は約5,500kmになります。
海溝型地震や直後の津波を直接的に検知し、迅速かつ確実な情報伝達により被害の軽減や避難行動などの防災対策に貢献することが期待されます。海域の地震像の解明のためにも海底における観測データは必要不可欠です。平成28年度より①房総沖から⑤釧路・青森沖の5つの海域において運用を開始し、平成29年4月から⑥海溝軸外側(アウターライズ)を含めたすべての海域において運用を行っております。
観測網は次の5つの海域と日本海溝の外側にそれぞれ設置します。
① 房総沖
② 茨城・福島沖
③ 宮城・岩手沖
④ 三陸沖北部
⑤ 釧路・青森沖
⑥ 海溝軸外側(アウターライズ)
1つの観測システム(サブシステム)は、平均約25の観測点(観測装置)を概ね30km間隔で網の目状に設置しています。ケーブル全長は約800kmです。 水深1,500m以浅の漁業操業海域では、海底に深さ1m程度の溝を掘り、その中にケーブルと観測装置を設置します。沿岸や浅部ではケーブル保護のため外装ケーブルを使用しています。
各サブシステムの観測データは、海底ケーブルで2つの陸上局に24時間連続して双方向伝送されます。観測点は、地震計(3成分速度計、ハイゲインとローゲイン6成分加速度計)、水圧計、傾斜計で構成されています。速度計、加速度計、傾斜計は100Hz, 水圧計は10Hzのデータを取得しています。これらの観測データが防災科研や関係機関へ送信され、地震と津波の監視、緊急地震速報の改善、海域の地殻構造と地震像解明の基礎データとして活用されます。
S-net構築時の情報は日本海溝海底地震津波観測網(S-net)整備事業をご参照下さい。