南海トラフ海底地震津波観測網:N-net

観測網の全体概要

全体概要図

 南海トラフ地震の想定震源域のうち、DONET設置域のさらに西側である高知県沖~日向灘に整備される観測網です。これにより南海トラフ地震の想定震源域における観測網の空白域が解消されます。
 沖合システムと沿岸システムの2つのサブシステムから成り、両サブシステムは室戸ジオパーク陸上局(高知県室戸市)と串間陸上局(宮崎県串間市)に陸揚げされています。各システムには地震計や津波計(水圧計)で構成される観測ノード18点が光海底ケーブルに繋がれていて、リアルタイムに24時間連続で観測データを取得することができます。また、観測ノードとは別に、拡張用の分岐装置を4箇所備えています。これにより将来新たな観測装置を繋ぐことが可能です。

 このようにN-netはS-netと同じように光海底ケーブルに数珠つなぎにすることで広範囲の海域をカバーするのと同時に、DONETのような拡張性も有するハイブリッド方式となっています。

観測網の構成

構成図

 1つのサブシステムに18点、計36点の観測ノード(観測装置)を、概ね30km間隔で海底に設置し、ケーブルの長さは沖合システムが約900km、沿岸システムは約740km(予定)となります。観測ノードの設置水深は最も深いところで約4,500mです。水深1,000以浅の漁業操業海域では、海底に深さ1m程度の溝を掘り、その中にケーブルと観測装置を設置します。沿岸や浅部ではケーブル保護のため外装ケーブルを使用しています。

 各サブシステムの観測データは、海底ケーブルで2つの陸上局に24時間連続して伝送されます。各観測点には、地震計(3成分速度計、3成分加速度計)、水圧計で構成されます。地震計は100Hz、水圧計は10Hzのデータを取得しています。これらの観測データが防災科研や関係機関へ送信され、地震と津波の監視、緊急地震速報の改善、海域の地殻構造と地震像解明の基礎データとして活用されます。